ショスタコつれづれあちらこちら トップページはhttp://shostako.xrea.jp

第2回: 交響曲第5番 〜〜〜 「ショスタコーヴィチの『幻想』」の妄想 (2)

  第5番の(1)  第5番の(2)  第5番の(3)  第5番の(4)


第2楽章については特に浮気がらみのデータは出て来ていないようだ。

すべてを無理やり彼女との思い出に結び付けて強引な解釈をするのは本意ではないが、わたしはこの楽章を

  「猥雑な雰囲気をたたえたダンスホールで踊り明かすような音楽」

といつも考えていたので、今回の新データはまさにわが意を得たような思いがした。中間部(第86小節〜)の、バイオリンソロ〜フルートソロと受け継がれる優しい部分は、映画で言えば、ダンスホール全体の喧騒を映したシーンからふと彼女一人、あるいはふたりのチークが静かにアップで映されるような場面転換に思える。すぐに周辺のカップルや他の客たちの踊りが割って入ったりして、やがてもとの騒がしさが戻ってくる。最後のオーボエソロ(242小節〜)の直前のティンパニーソロの音形は、カルメンのテーマの上昇下降音形の圧縮再現とも取れるし、酔客が押し入ってきたシーンとも取れる。オーボエソロはふらふらになった踊り手が倒れるシーン。あるいは、ティンパニーは自分の(自分たちの)部屋に入る場面で、オーボエソロでニヤリとして、最後のトゥッティでベッドに倒れこむ、とか・・・。



第3楽章もまた非常に完成度の高い、ある意味崇高な音楽だ。わたしははじめてこの曲を聞いたとき、なによりもこの楽章に震えた思い出がある。はじめて第1ヴァイオリンが出てくるところ(第24小節)は、いつ聞いてもぞくっとする。(もちろん、いい音のいい演奏に限るが・・・)この楽章には浮気の思い出が反映されていてほしくないというのが正直なところだ。ただ、もだえ苦しむような葛藤から解放される過程が赤裸々に描かれている、という解釈はありうると思える。


 ⇒ 第5番の(3) へ


  第5番の(1)  第5番の(2)  第5番の(3)  第5番の(4)  トップページ